新NISAがはじまり投資先を考える際に、「eMAXIS Slim」という名がついた投資信託を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
この記事では、投資初心者や長期運用を考える投資家に特に人気のある「eMAXIS Slim」シリーズについて解説しています。
私自身も実際に投資している商品です。
「eMAXIS Slim」シリーズとはそもそも何か?人気の理由は?中でもどの商品がおすすめか?など、初心者でも分かりやすい解説となっていますので参考になれば幸いです!
「eMAXIS」とは?
「eMAXIS Slim」シリーズは「eMAXIS」シリーズのうちの1つになります。
そもそもeMAXIS(イーマクシス)シリーズとは、三菱UFJ国際投信が設定・運用する投資信託のラインアップの総称です。
このeMAXISの特徴 は業界最低水準の運用コストを目指している点であり、数ある投資信託の中で最も手数料の低い商品のラインアップといわれています。
⇩ 以下「eMAXIS」の代表的なシリーズです。
- 『e MAXIS』 … ベーシックなシリーズ
- 『e MAXIS Slim』 … より低コストを意識
- 『e MAXIS プラス』 … ハイリスク商品を対象 ex) 原油や貴金属、農業品など
- 『e MAXIS Neo』 … テーマ投資ができる ex) 宇宙開発や自動運転、ロボットなど
eMAXIS関連シリーズの商品は2024年3月の現時点で68本あり、すべてノーロード・インデックスファンド・シリーズです。
ノーロード・インデックスファンドとは?
:購入時の手数料がかからない投資信託(ファンド)のこと。購入時手数料をロードと呼ぶことから、ロードが無いという意味でノーロードと呼ばれている。
「eMAXIS Slim」シリーズとは?
このeMAXISシリーズの中でも「eMAXIS Slim」シリーズは、特に低コストにこだわっており、信託報酬が安いことから長期運用を目的とする投資家に注目されています。
eMAXIS Slimシリーズは全部で14種類と幅広いラインナップとなっています。
また取り扱い金融機関が多く、購入しやすい点からも人気のあるシリーズとなっています。
以下、eMAXIS Slimシリーズの全種類を「純資産総額」と「信託報酬」、「新NISAのつみたて投資枠の対応状況」のそれぞれについてまとめた表になります。
ファンド名 | 純資産総額 | 信託報酬 | 新NISA(つみた て投資枠)対応 |
eMAXIM Slim 国内株式(TOPIX) | 1562.02億円 | 0.143% | 〇 |
eMAXIM Slim国内株式(日経平均) | 796.11億円 | 0.143% | 〇 |
eMAXIM Slim 先進国株式インデックス | 6968.49億円 | 0.09889% | 〇 |
eMAXIM Slim 米国株式(S&P500) | 40876.92億円 | 0.09372% | 〇 |
eMAXIM Slim 全米株式 | 94.81億円 | 0.09372% | × |
eMAXIM Slim 新興国株式インデックス | 1471.81億円 | 0.1518% | 〇 |
eMAXIM Slim 全世界株式(除く日本) | 4521.83億円 | 0.05775% | 〇 |
eMAXIM Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 28963.67億円 | 0.05775% | 〇 |
eMAXIM Slim 全世界株式(3地域均等型) | 134.53億円 | 0.05775% | 〇 |
eMAXIM Slim国内債券インデックス | 226.56億円 | 0.132% | × |
eMAXIM Slim 先進国債券インデックス | 1174.17億円 | 0.154% | × |
eMAXIM Slim国内リートインデックス | 187.07億円 | 0.187% | × |
eMAXIM Slim先進国リートインデックス | 271.96億円 | 0.22% | × |
eMAXIM Slim バランス(8資産均等型) | 2636.11億円 | 0.143% | 〇 |
純資産総額はファンドを選ぶ際に大事なんですか?
純資産総額とは、投資家から集めた資金の総額で、ファンドの大きさ(規模)を示す指標として利用されます。この数字が大きいファンドは信託報酬を抑えられるメリットがあり、eMAXIS Slimシリーズでは純資産総額に応じて信託報酬が定められています。この純資産総額が大きくなるほど、つまりファンドにお金が集まるほど、運用コストを安く抑えることが可能です。
eMAXIS Slimシリーズは2024年2月16日に合計純資産総額が8兆円を突破しており、現在も右肩上がりに増加し続けています。 ※下図参照:三菱UFJ提供資料(2024年2月20日)より
このようにeMAXIS Slimシリーズは、低コストで取り扱い金融機関も多く、純資産総額は右肩上がりに増加しているといった点から、投資家から人気を集めているといえるでしょう。
新NISAでおすすめのファンド3選
新NISAでも人気のあるeMAXIS Slimシリーズですが、どのファンドがおすすめか気になる方は多いのではないでしょうか。
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの非課税枠がありますが、つみたて投資枠で購入できるeMAXIS Slimシリーズは14種類の中で9ファンドになります。※上表参照
「つみたて投資枠」…国が定めた厳しい基準をクリアした長期投資に適している投資信託が対象となっている。初心者の方でもはじめやすいのが特徴。
他の5ファンドについては、成長投資枠で購入することができます。
つみたて投資枠は年間120万円まで、成長投資枠は年間240万円まで買付ができるので、複数のファンドを掛け合わせて分散投資するのもいいでしょう。
ここでは新NISA「つみたて投資枠」におすすめのファンド3選を紹介したいと思います!
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
日本で最も人気のある銘柄の一つであり、「投信ブロガーが選ぶ!Funds of the Year 」で2019年~2023年まで5年連続で1位を受賞しています。
このファンドの魅力は、日本を含む先進国から、これから経済成長する新興国まで幅広く全世界に分散投資できる点です。
投資信託1本だけで全世界に投資したい人におすすめです。
ただ、先進国への投資比率が80~90%となっており、約60%は米国が占めていることには注意が必要です。
信託報酬は非常に低く(0.05775%)、ほかの全世界株式インデックスと比較しても、eMAXIS Slimの全世界株式はかなり低い水準です!
これまで何度か信託報酬の引き下げを行っており、今後も低コストを追求した運用が期待できます。
気になる投資成果ですが、10年間毎月1万円(計120万円)のつみたて投資をした場合の成果が下図になります。※資料:三菱UFJアセットマネジメントHP
2013年から2023年までで元本の約2.1倍になっていることが分かります。
eMAXIM Slim 米国株式(S&P500)
eMAXIM Slim 米国株式(S&P500)は、eMAXIM Slimシリーズで最も純資産総額が大きい人気のファンドです。
連動する指数であるS&P500は米国を代表する企業銘柄で構成されており、際立った成長を見せています。米国は先進国ながら人口も増え続けており、今後の経済成長も期待できます。
しかし今後、世界経済の中心がアメリカでなくなった際に、このファンドは投資地域が米国のみであるためリスクとなります。
10年間毎月1万円(計120万円)のつみたて投資をした場合の投資成果が下図になります。※資料:三菱UFJアセットマネジメントHP
2014年から2024年までで元本の約2.7倍になっており、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と比べ、過去10年の投資成果は良いことが分かります。
ただ、これはあくまでも過去のリターンであり、今後も同じようなリターンとなるとは限りません。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)ではどっちがおすすめ?
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)なら約60%、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)なら100%を米国株式に投資することになります。
この2つのファンドで悩む方も多いですが、どちらを選ぶべきかの判断基準は米国の未来を100%信じられるかどうか? 個人の考えによります。
米国の成長性に期待できるor期待したい方はS&P500への投資が考えられるでしょう。
eMAXIM Slim バランス(8資産均等型)
eMAXIM Slim バランス(8資産均等型)は先進国・日本・新興国の株式や債券、REITに対してそれぞれ均等(約12.5%ずつ)に分散投資できるファンドです。
上2つのファンドは株式のみへの投資でしたが、このファンドは株式が半分以下の割合になっています。※下図 GMOクリック証券HP参照
例えば、株が下落しても債券が値上がりした場合、ある程度カバーすることができます。
また、日本経済が不調でも、海外の経済が成長していればカバーできるかもしれません。
このように様々な資産に分散することでリスクを抑えながら資産運用ができます。
10年間毎月末1万円(計120万円)のつみたて投資をした場合の投資成果が下図になります。※資料:三菱UFJアセットマネジメントHP
2014年から2024年までで元本の約1.5倍であり、上2つのファンドと比べ過去10年のリターンは少ないですが、8資産に分散投資しているため安定的なリスクとリターンが期待できます。
信託報酬が0.143%と低いことも特徴であり、8資産それぞれの信託報酬の平均は0.2181%となるため(※上表参照)、これ1本に投資することで個別に購入するより費用を抑えることができます。
低コストで、1本で国内外の資産に分散投資をしたい方におすすめのファンドと言えます。
まとめ
この記事では、新NISAで人気の「eMAXIS Slim」シリーズの特徴や、中でもどのファンドがおすすめかを解説してきました。
「eMAXIS Slim」シリーズは、
・低コストで運用できる(※業界最低最低水準の運用コストを目指している)
・取り扱い金融機関が多い
・純資産総額は右肩上がりに増加している
といった理由から投資家から人気があり、新NISAで長期運用したい方にもおすすめのシリーズです。
今回おすすめのファンドを3つ紹介しましたが、自分自身がどのような投資をしたいかで投資先は変わってきますので、他ファンドも含め各ファンドの特徴を知った上で投資先を選択しましょう!
⬇︎ 他にも資産形成に関する様々な記事を書いてますので、読んで頂けると嬉しいです ⬇︎